JAが運営する直売所「地物市場とれのさと」は地元石狩の生産者が持ち寄った農産物の他、海産物・畜産物・加工品を販売。生産者と一般市民の交流の場として、イベントも開催される農産物加工体験施設と、「地産地消」をテーマに地場農産物を使ったカフェ、石狩の農水産物発信SHOPからなる直売所では珍しい複合施設である。 2011年4月のリニューアルを機に、お客様へのサービス向上を図るために、カスタマイズ可能な直売所総合販売管理システムを導入し、直売所の作業効率化・生産履歴の見える化等、生産者と消費者をつなぐ取り組みが行われている。

これまでは、毎日少人数での棚卸作業があり、手計算により数が合わない等、時間と労力がかかっていた。また、各農家への売上報告もFAXで対応していたため60人分(昨年)を送信するだけでも時間と手間がかかり、リアルタイムで送ることができなかったようだ。そのため直売所を運営するJAいしかりは、今年4月のリニューアルオープンにともなう取扱商品増加への対応も含め、システムデザイン開発(株)の直売所総合販売管理システム「toreta」を導入した。
「toreta」(システムデザイン開発(株))とは直売所運営を強力にサポートする、売上管理/生産履歴管理/インターネット情報発信/受発注/集荷配送が揃ったパッケージシステムである。その中のPOSシステムは、販売状況をリアルタイムでメール発信できる機能を持ち売上報告を受け、各農家は携帯電話等で在庫を確認し、直売所に農作物を持ち込む等、迅速な処理ができ品薄や欠品をなくすことができる。

各農家は朝、直売所のパソコンでPOSレジ用のバーコードラベルをパソコンで作成し、農作物に貼って店頭に並べる。

店内には3台のポスレジがある。お買上商品の値札についているバーコードを読み取り、パソコンに商品の売上情報データがクラウド上に蓄積される。この売上情報が各農家へ配信され、携帯電話等で随時確認することができる。

前田農園の前田さんは今までFAXで売上報告をうけていた。以前は、毎日の棚卸に時間がかかるうえ、手計算のため数字が合わない等、作業効率も悪く労力に合わないと感じていたようだ。しかし、携帯電話の売上通知に初めはかなり抵抗があったようだが、「慣れてしまうと農作業中でも好きな時に見ることができ、今では当日の売上データをもらうことが仕事の励みになる」と語っている。また、「翌日の段取りを考え計画的に効率よく仕事ができるようになった」とのこと。売上は導入前と比べて40%もUPしたそうだ。

前田さんは、「以前は直売所から遠いため週2回しか納品にいくことができなかったが直売所独自の産地直送便(マルシェ便)が集荷にきてくれ、出荷数量も増えた」と語った。

生産者協議会会長の六川正輝さんは今後の課題を次のように語った。「現在農作物の値段は生産者に任せられているので値段のばらつきがあり、調整したい」また「直売所の屋外で販売されている品物も、屋内に持ち込んで清算しているため、お客様の手間を考えると改善していきたい」

今後は消費者ニーズに合わせた商品選びをしていくとともに、消費者に対し、より安全に安心して購入していただけるためにも生産者の履歴が分かる生産者履歴管理システムを検討している他、レシピや売れ筋情報口コミ等ホームページの中身の充実を図りたいとのこと。

林さんは、「売上を伸ばす以外に、市場以外の販売ルートやチャンネルを増やし、農業を広範囲で広げていくのが使命である。農業の活性化につなげたい」と語る。
◆ITCコメント(笠原 俊哉)
今回の事例は、安全・安心で新鮮な農産品をお客様に提供する農産物直売所の運営効率を大きく改善する実践的な事例です。直売所総合販売管理システムの導入によって、売上情報の“見える化”、農産物の欠品防止、生産履歴の提供、直売所の棚卸業務改善など、多くの点で作業の効率化が図られ、お客様に喜んでいただける取組が、以前にもまして実現できているようです。 また、導入したシステムはパッケージタイプですが、お客様の声を反映することで更に、使いやすく効果も上がったようです。このように、直売所運営にあたって農家の皆さんがシステムを道具として着実に使い始めていることが、その大きな成果の一つです。 小売・販売・流通など多くの分野で示唆に富んだ事例ですので是非、皆様のご参考にしていただければと思います。